落花の生栽培の手順をお伝えします。(一坪程度の畑を基準としています。)

1.種子の準備

種子は種苗店で購入して下さい。

ここがポイント!
なるべくふっくらとした丸みをおびた物を使用しましょう。
薄皮が剥けている物や形が変形しているものは避けて下さい。

2.畑の準備

土の pH(ペーハー)を調べます。pH 6.0~6.5 が最適(弱酸性)

ここがポイント!
酸性かアルカリであるかのことです。
どちらかに偏ると生育が悪くなります。
前に作った作物が上手く育たなかった場合は、pHを疑って下さい。

3.施肥

ここは皆さんコダワリがある処です。
土の種類や土壌菌との関係、肥料も有機、無機とあり施肥時期をいつにするかと、数えたらきりがありません。
”土つくり”職人の世界でもあり、経験がモノを言います。

ここでは基本的なやり方を示します。

1)堆肥

分解が遅いので、なるべく前作に入れるようにして下さい。

1Kg 程度を畑全体に蒔き、土と良く混ぜます。

ここがポイント!
動物由来の堆肥は、散布量を多くすると肥料成分(NPK等)は充分補えるのですが、pH8.4~8.9の弱アルカリですので植物には悪影響です。
植物由来の堆肥この限りではありません。

2)苦土石灰

200g程度を全体に蒔き、土と良く混ぜます。1週間程そのままにして下さい。
pPは6.0〜6.5に調整します。

3)肥料

元肥として窒素成分3Kg/10aが目安ですので、落花生専用肥料(5-15-20)を200g程度を全体に蒔き、土と良く混ぜます。

ここがポイント!

落花生の根には根粒菌が着生して、大気中の窒素を取り入れ栄養分としています。

落花生の根に着生した根粒菌
根粒菌の着生した落花生の根

したがって窒素成分の肥料を追肥する必要がありません。
もしも土の中に窒素成分が多く残っていた場合は、根粒菌の着生は見られなくなります。(千葉県農試資料より)

4.栽培床作り

土を盛り上げてベットを作ります。
95cm幅、穴あき落花生用のビニールマルチ(9230)か、穴ナシを使用します。

穴ナシの場合は下図のように穴を開けてください。

穴なしの場合はマルチシートに穴を開ける

5.種蒔き

うね幅130~140cm、マルチ穴に深さ3~4cmの穴を開け、横向きに1粒入れ、土を上からかけます。

ここがポイント!
種子は、必ず横向きにして下さい。
縦向きでは根の出る場所が逆さまになる危険があります。
植え付け深さ1cmでは、根が充分に土の中に入らない事があります。
また、6cmの深植えでは腐る危険があります。

種蒔きは5月中旬~6月中旬までを目安として下さい。
4月では発芽不良が多くなり、6月中旬以降では収量が減少します。

6.発芽

播種後約7日~10日程で発芽してきます。
その後数日しても発芽が見られない場合、種に異常がありますので、取り去って再度播種して下さい。

7.開花とマルチ除去

6月下旬~7月中旬頃に開花します。
全体株の半数が開花した時期を見はからって、下図のようにマルチ中央を切り、1列つづ株が抜けないように丁寧に剝ぎ取ります。

マルチシートを刃物で切る

作業中に病気にかかった株を見つけたら、引き抜いて、畑の外へ捨てて下さい。

8.苦土石灰散布と土のもと寄せ

畝間と畝間の間に苦土石灰を 200g 程度蒔きます。

その後、下図のように株元に土を寄せます。

土を寄せる

ここがポイント!
殻を作る為に大量のカルシュウムが必要なので、追肥として苦土石灰を入れます。
株元に土を寄せる理由は、2つ有ります。
1つ目として、茎から伸びる子房柄が土に入り落花生を実らせます。
株元に土が無いと実らせることが出来ません。
2つ目は、畝間を掘る事によって土の水はけが良くなる事です。

9.除草

マルチを剥ぎ、土の元寄せが終わると、梅雨時もあり雑草が出てきます。こまめに抜き取りをして下さい。

これを怠ると収量に影響します。
とにかく雑草との格闘です。

あまり手が回らない場合は、雑草抑制剤や除草剤を使用します。

10.潅水

開花してから20日後を目安に潅水を行って下さい。
その前後に雨が降ればその必要はありませんが、なるべくたっぷりと行って下さい。

30日後も同じように潅水します。
その後土が乾くようであれば、軽く潅水します。

ここがポイント!
潅水は、非常に重要でありこれ次第で収量に大きく影響します。
開花後20~30日後の土中水分が足りない場合、殻は育つのですが、実が大きくなりません。
いわゆる空実となります。
この時期だけは特に注意してください。

11.害虫防除

夏場でも比較的害虫被害は多くありません。
被害が出た場合は、殺虫剤を散布しましょう。
指定農薬を使用基準に従って下さい。

12.掘り取り 乾燥

各品種によって、掘り取り時期が違います。

開花後早生品種は70~75日、中生品種は80日、晩生品種は90~95日を目安として掘り取ります。

樹を振るって土を落とし、実が上になるように反転させ約10間程天日乾燥させます。

種取り

ここがポイント!
株の黄化で掘り取り時期を判断しないで下さい。
必ずサンプルを取り、殻を割って殻の内側を見て判断して下さい。
白いようであれば、まだ早すぎです。全部こげ茶になっていたら遅い。まだらにこげ茶がついていれば適期となります。
掘り取り時期が遅れると、実が土中に残り、樹だけ引き抜く事となります。

13. 収穫 再乾燥

専用機械で、さやと樹を分離できれば良いのですが、さやは手でもぎとります。
ブルーシートに薄く広げ、天気の良い日に屋外で再乾燥させます。
乾燥が不十分だと、さや表面にカビが生えてきて、中の実までカビだらけとなり食用にはなりません。

ここがポイント!
乾燥が充分かどうかの判断は、実を取り出し親指と人差し指でつぶしてみます。
簡単につぶれるようでは、まだ乾燥が足りません。
つぶれなくなるまで乾燥させます。
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