「おおまさりを家庭菜園で栽培したいけど、種はどこで購入できるの?」
「種苗法ってどういう法律?何をしたら違反になるの?」

種苗法(読み方:しゅびょうほう)は、日本が長い年月をかけて開発した品種を海外へ流出させないためにある法律です。
おおまさりの場合、家庭菜園で育てて自宅で食べたりする場合は問題ありませんが、種苗を譲渡することは禁止されています。

この記事では、おおまさりなどの登録品種を育てる際に、知っておきたい種苗法について解説します。
種苗法ができた背景を知ることで、違反になる場合やならない場合がわかり、うっかりルール違反してしまうことを防ぐことができます。

おおまさりの種苗法で違反になるケース・ならないケース

おおまさりの種苗法で違反になるのは、種苗の取り扱いに関してのみです。

おおまさりの栽培で種苗法違反となるケース・ならないケース

おおまさりに関する種苗法

栽培することは問題ありませんが、種苗の海外への持ち出しや販売・譲渡について規制があります。
(※他の農作物(ブドウやイチゴなど)は、指定地域以外で栽培するだけで違反になる場合もあるので注意してください。)

違反にならない(やってもいい)場合

  • 一般の種苗店で購入した種苗を育てる
  • 育てた落花生を自分で食べる
  • 育てた落花生を「食用として」譲渡・販売する

ホームセンターや種苗店などで購入した落花生を家庭菜園で育てたり、自分や家族で食べることは全く問題ありません。
また、収穫した落花生を食用として近所にお裾分けしたり、販売しても問題ありません。

違反になる(やってはいけない)場合

  • 自分で育ててできた落花生を「種苗として」無許可で販売または譲渡する
  • 購入した種苗や、自分で育てて増殖させた種苗を海外に持ち出す

購入した種苗を自分で育てて、さらに種を増やすことを「自家増殖」と言います。

自家増殖

自家増殖した種苗を無許可で販売または譲渡すると、種苗法違反となります。
過去に、メルカリやヤフーオークションで落花生の種苗が販売され、種苗法違反として出品が削除された事例があったようです。

違反すると刑事罰となり、個人では10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金。
法人では3億円以下の罰金となり、大変厳しい法律です。

参考:知らなかったでは許されない!種苗法と育成者権|農業試験場

種苗法の対象となる落花生の品種

種苗法の対象となるのは、国や県の試験場などが年月と費用をかけて開発し登録された登録品種のみです。
登録品種はPVP品種(Plant Variety Protection:植物品種保護)と呼ばれ、種苗の取り扱いだけでなく栽培にも許諾が必要な品種もあります。

落花生の登録品種は以下の4品種となっています。

  • おおまさり
  • 千葉P114号(Qなっつ)
  • おおまさりネオ
  • 千葉P121号

(※2022年6月現在の状況)

一般的に普及している以下のような在来種は権利が失効しているため、育てても種を売っても法律上は問題ありません。

  • 千葉半立
  • ふくまさり
  • 郷の香
  • ゆでまさり
  • 土の香

参考:千葉県育成品種一覧|海外持ち出し制限

種苗法とは?法律ができた背景や目的

種苗法ができた背景には、過去にコストと時間をかけて開発した日本の品種が、海外に流出した事件があります。

ブドウの品種として有名な「シャインマスカット」は、もともと日本で開発された品種でした。
甘みが強く、皮ごと食べれることから人気となり、高値で取引されています。

日本で品種改良を重ねてやっと開発されたシャインマスカットですが、苗木が海外に流出してしまい、中国や韓国の現地で大量生産されてしまいます。
その後、タイ、マレーシア、ベトナムにも生産が拡大。

日本だけにシャインマスカットを生産を制限していれば、海外に輸出すれば大きな利益になるはずでした。
しかし、流出した苗木のせいで、海外市場は既に現地で生産されたシャインマスカットで飽和状態。
33年の開発期間と、多くの研究者の努力が報われない結果となってしまいました。

農産業が潤わなければ、日本人の嗜好にあった品種の開発も行われなくなり、生産力も低下します。
海外に開発品種が流出することは、生産者だけでなく消費者にも悪影響が出てしまうのです。

このような事態を防ぐために、種苗法というルールを作り
・種苗を海外に持ち出さない
・種苗を無断で販売してはならない
ことを徹底して、日本農業の競争力を守っているのです。

改正種苗法について 改正法の概念と留意点|農林水産省

生落花生の販売と種苗法について

直売所などで、食用に生落花生を売られていますね。
生落花生は茹でたり煎ったりして自分好みの味付けができますし、消費期限が短いため現地でしか手に入らないお得感もあります。

ただ、生落花生は乾燥させれば種子になってしまいます。
ここが種苗法の規制の難しいところなのですが、落花生の場合は販売した時点では「食用か種苗用か」わからないのです。
果肉を食べるシャインマスカットやイチゴに比べて、種を食べる落花生は、種苗法の中でとてもややこしい存在です。

千葉半立や郷の香などは既に一般品種となっているため、生落花生を購入して種子にしても問題ありません。
しかし、おおまさりやQなっつなどの登録品種は、購入した生落花生を種子にすると種苗法違反となってしまいます。

そのような方法で種子を手に入れなくても、ホームセンターや種苗店で種苗は販売しています。
自分で家庭菜園で育ててみたい方は、販売店から種子を購入してください。

まとめ

  • 種苗店で購入したおおまさりを育てて自分で食べるのは問題ない
  • おおまさりなどの登録品種を海外に持ち出すと種苗法違反となる
  • 自家増殖させた種苗を無許可で譲渡・販売すると違反となる
  • 種苗法は、コストと時間をかけて開発した日本の品種を海外に流出させないためにできた法律

おおまさりは、大ぶりの身でたべごたえがあり、1年くらいの長期保存もできます。
サツマイモなどとの輪作の相性も良く、土壌を消毒してくれる作用もあります。
家庭菜園で育てたい方は、ぜひ種苗店で種を探してみてください。

\千葉県産の新品種!/

Qナッツ

青柳農場では、千葉県が産んだ新しい落花生の品種「Qなっつ」を生産・販売しています。
はっきりした甘味とコクがあり、一番人気の品種になっています。
お酒のつまみ、贈答用にぴったりなので、ぜひお試しください。

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